感動学研究会は、世田谷区後援「日本初の感動学フォーラム」(平成161016日)を世田谷区北沢タウンホールで開催しました。

“基調講演”は、感動学研究会代表の小林 登東京大学名誉教授の「生命感動学」でした。小林 登東京大学名誉教授は、国立小児病院名誉院長・子ども学会代表でもあります。

「生命感動学」では、臨床データのスライドを使って、感動が子どもの成長・IQに影響があることを説明しました。(後日、入場者からもう一度聞きたいという要望が多数寄せられています)。

“フォーラム”では、教育・医学・マスコミ・ボランティアなどで活躍しているパネリストの体験的感動観が語られ、入場者と活発な質疑応答が交わされました。その中のいくつかを報告します。(飯田イ)

1、脳で感じるか、心で感じるか? 挙手で回答を求めました。

 「感動」を脳で感じるが入場者の2割、心で感じるが7割でした。現在でも、アメリカ人の79%が聖母マリアの処女懐胎を信じていますから、心で感じるという人が多いのも当然です。ただ、現代では、心臓にも記憶細胞があるようなので、心臓は、“頭脳”に対し“心脳”といってもいいかも知れません。また、腹にある太陽神経叢はドイツ語では、“腹脳”といいますから、腹にも心があるのかも知れません。最近、アメリカの神経生物学者マイケル・D・ガーション医学博士は、脳に存在している神経伝達物質「セロトリン」が腸にも存在することを発見し、『腸にも脳がある』という本を書いています。ですから、亭主を早死させたければ、頻繁に亭主を怒ることです。怒られた亭主は、脳と心臓と腸が同時攻撃され、やがて脳卒中か、心筋梗塞か、胃腸病の病気になります。反対に亭主を誉めると、脳が活性し、心臓と胃腸は丈夫になり、亭主は元気で、出世街道へまっしぐらです。ちなみに「一生感動・一生青春」を説く、故相田みつをさんは、「感動は頭で感じるのではなくカラダ全体で感じるもの」といっています。

2.科学や学問にする、とたんにつまらなくなる。感動も同じ道をたどるのは反対だ。 このような意見が出ました。

しかし、感動がモチベーションとなり、科学者・職人・エンジニア・陶芸家・建築家などの職業を選択した人も多く、エッセイなどから知るかぎり、その人たちは、充実した人生を過ごしています。また、「感動が要因であった」とは、断定できませんが、精神障害から立ち直るキッカケが信頼や好意を寄せていた人の一言であった例や、日常の使用頻度の高い、簡単な「一」や「二」をどうしても読めない発達障害の子が、目を輝かして複雑な漢字の鳥・雪・雷はスラスラと読めたという実験データもあります。感動と出会うのは自分の努力かもしれませんが、「感動」を多方面から調査・研究し、その成果の「感動学」が、教育や労働に生かされ、人々の健康で楽しい人生づくりに少しでも役立つなら、感動を体系づけることも意義があります。「感動」する社会、それは、いつの時代でも、人々が求めるユートピアかも知れません。「感動学」は、自然科学・社会科学・人文科学にわたる、まさに学際的調査・研究で、現代に必要不可欠な調査・研究だと思います。